誤解の解けない蜂蜜の話2 – それは毒か?

皆様こんにちは、瀧悠一です。
ふとしたことから、Twitterのフォロワーさんつながりで不思議な話を聞きました。

200gビンに入る蜜

「蜂蜜は加熱すると毒」
え、何ですかそれ、聞いたことありませんよ。というのが率直な感想でした。確かに、はちみつの中には不適切な蜜源から採取された蜂蜜で中毒症状を引き起こすものがあります。たとえば、ツバキの一部からは毒性のある蜂蜜が採れることで有名です。また、猛毒で有名な植物の「トリカブト」、生垣に時折用いられる「アセビ」が有名なところです。これらの植物の花蜜が混入すると、加熱しなくても毒です。
また、人にとって害がなくても他の動物に毒になる植物があります。例えば「ヘアリーベッチ」と呼ばれるツル状植物。試験的に昨年種を蒔いてみました。うまく育てば今年の梅雨時期前後に開花してくれます。ヘアリーベッチから採れる花蜜(=蜂蜜)は、人間にとって無害です。が、一部の家畜に与えると重大な毒性を示す場合があります(現実的には牛)。

話を戻しますと、蜂蜜を加熱しても毒性は示しません。焦げ付くほどに加熱したのなら話は変わりますが(この場合、どのような食べ物でも広義の「毒」になり得ると思います)、溶かすために加熱する程度では毒性が出ることはありません。もし加熱して毒性を示すようなら、それは元から蜂蜜に毒性がある花蜜が含まれることを示すでしょう。

我が家で美味しく頂く方法は、チーズと蜂蜜の組み合わせ。クラッカーにチーズとはちみつを乗せてレンジで10秒で出来上がり。たとえば、ちょっと洒落たピザ屋さん等では「ハニーチーズピッツァ」なんて名称で呼ばれていると思います。実際、東京に行った時に私もそれを見つけて驚き、食べてさらに驚いたものです。
また、市販のお菓子や各種洋菓子(焼き菓子等)にもはちみつが使われています。煮物に入れても良いですよね。加熱して毒になるようなものなら、このような使い方は広まる筈がありません。どうぞ安心してお使いください。

と、話はここで終わりません。次は「何度までなら平気なのか」という話も出てきました。
どうやら「蜂蜜(実際にはミツバチ)由来の酵素が変質してしまうから加熱しすぎも良くない」というお話でした。
これについては何やら色々と話が飛び交っておりまして、「65度までなら大丈夫」とか「40度でも駄目」という意見まであります。酵素について詳しい話はこちらへ

–以下、かなりの私見が混じります。ご了承下さい。–
65度、という数字はヒトや家畜のもつ酵素が沸騰する温度だと、昔どころか見聞きした記憶があります。もちろん、すべての酵素がこの温度で変質するとは限らないでしょうが、有益な情報源が見つからないので、とりあえずこの温度を最上限、としておきましょう。
次に下限。40度というと、一般的なお風呂の温度ですよね。40度のお湯で酵素が駄目になってしまうとなると、人はお風呂に入れなくなってしまいます。これはちょっと低すぎますね。セイヨウミツバチの生存温度は平均35度前後(巣箱の中)、ニホンミツバチが蜂球を作ってスズメバチを圧殺するとき、最高で48度近くなるとも言われています。(それ以上だと短時間であってもミツバチのほうが死んでしまう。また、蜂球の中は温度だけでなく、二酸化炭素量も非常に高くなるようです)そして、セイヨウミツバチは45度から46度程度が耐熱限界とも言われています。
つまり、「生存限界」という限定的な条件でのみ話を進めるのであれば、この温度までは「酵素は耐えられる」と、私は認識しています。瀧養蜂場の蜂蜜ですが、非加熱といっても固まってしまった蜂蜜は溶かさなければ個詰めすることができません。ですから、はちみつの融解処理を行ううえで上限温度を45度に設定しているのはこのためです。独自基準となっていますが、これ以上の温度をかけてしまった蜂蜜は「加熱処理済み」としています。
勿論ですが、ここに出てくる数字や考え方は必ずしも正解とは限りません。あくまで独自研究と私見によるものです。実際、65度まで温度を上げてしまうと「結晶化しない蜂蜜」が出来上がります(一度やってしまいました)。これは酵素が云々ではなく、成分全体が変化したことによるものだと思われます。

もっとも、ミツバチ由来の酵素が人間に対してどのような効果(良し悪しは別として)をもたらすのか、それすらまだ謎です。ですから、あまりギクシャク考えずに「はちみつにはまだ分からないことがある」程度で受け取っていただければ、と思います。
しかし、ここまで書くと興味が沸いてきますね。機会があれば成分変化や影響などを研究してみたいものです。

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